こんにちは。黄色の鳥です。
今日は初めて読書レビューをしたいと思います。できれば「読んでよかったモノ」シリーズ化したいと考えています。結構漫画も小説も読むので、ライトな気分で発信していくので、小休憩的にライトに読んでいただければいいかなと思っております。
初回は昨年読んだ中で凄いオススメの本があるので、紹介したいんですよね。「リップスティック」「高校教師」などで有名な野島伸司さん著の『スヌスヌムリクの恋人』です。LGBTQに関係のあるものになるのと、若干ネタバレになるので、嫌な気持ちになる方は見ないでくださいね。私はLGBTQ肯定派です。
- あらすじ
- ノノちゃんの強さについて
- 直紀の優しさについて
- オススメの描写は
あらすじ
とあるカフェの一席。僕こと直紀が女性に昔話を語ることで小説が歩き出します。
同じラグビー部での仲間だった仲良しの父親たち、家を間近の近所につけて生まれた同級生の男の子4人。生徒会長の清人・ボクシングに精を出す哲也・ナンパで女の子にだらしない僕・誰からも愛される可愛らしいノノ。タイプの違う親友4人を取り巻く青春が描かれています。小学生のある日、直紀はノノの心が女の子であることをカミングアウトされます。無邪気な子ども時代は4人の共通認識は、フラットに「ノノの心は女の子」を受け入れていますが、中学生以降は詰襟を着るようになり、ノノも男の子のように振る舞うようになります。ここまではあくまで話の背景として、大きな物語の始まりは、思春期になりノノちゃんが男性でいることの違和感に押し潰され、心が不安定になったことに3人が気づいたところから、本格的に動き出します。ノノちゃんの女の子の恋人・一番の理解者の死・偽同性愛の恋愛などノノちゃんを中心に事件は何度も起こります。その様子を直紀の目線で語られていきます。直紀の一番の理解者となるナナコとの話も考えさせられ、ナナコの存在そのままに魅せられます。
ノノちゃんの強さについて
日本のLGBTの人口ってどのくらいかご存知でしょうか?調査結果によって大きく変化しますが、人口の8%-10%程度と言われています。これは左利きの人の割合の少し少ないくらいです。意外と多いと感じる方が多いのではないでしょうか?これだけの方が、大小の差はあれど、生きづらさを感じているという実態は知っておきたいところですね。
ノノちゃんは、体は男の子、心は女の子のトランスジェンダーです。3人の親友に時に見守られ、時に一緒に戦い、時に守ろうとしながら、成長していくのですが、ついにセーラー服での登校を勝ち取ります。勝ち取るに至るまでの、4人それぞれの活躍ももちろん見ものなのですが、全校生徒の前で様々な視線にさらされると分かった上で、壇上で微笑むノノちゃんに強さを感じます。精神的に大きく揺れ動くノノちゃんが性転換手術を受けるために、周りの大切な人の気持ちを裏切ることになると分かった上で、必死で女性への道を掴もうとする様子が、リアルに描かれています。
直紀の優しさについて
ナンパで八方美人と言われる主人公の直紀。ノノちゃんとナナコは他の人と違う見方をします。「相手が傷つくから曖昧にしてしまう」「ナオチャンのポケットは穴が空いてるんだよ」「一杯愛情が欲しいけど、全部溢れちゃうんだ」とノノちゃん。「踊る側の人間だってことだから」「いいかげんな人間は、ホントは何かを求めているの。何かを求めているから、それ以外はいいかげんになっちゃう」とナナコ。
ノノちゃんはナオチャンに男性として惹かれ、ナナコはナオキの才能に気付き導いていくそれぞれの愛情を持って接していて、直紀も確かに2人に応えていきます。物語を読んでいて、やっぱり直紀がすごいいいヤツで、本質的な優しさを持っています。特に、ノノちゃんやナナコの心を救うシーンは切なくも美しいので必読の価値ありです。
オススメの描写は
前述でも言いましたが、ノノちゃんの心を救うシーンとナナコのお願いをきくシーンも切なく美しいのでオススメですが、この小説全体として、「苦しむ先の美しさ」が煌めくシーンが散りばめられています。
私が特にオススメのシーンは、ノノちゃんが深夜の海辺で、全裸で自分を抱きしめる姿を直紀がカメラに収めるシーンがあるのですが、心の崩壊の序章の象徴で、とても綺麗です。
もうひとつ、S遺伝子について直紀が語るシーン。そして細かく描写はされていませんが、直紀が旅先で8ミリビデオに収め続けたビデオを想像すると切なく小さくキラキラとしている様子が想像してしまいます。
いかがだったでしょうか?少しは興味を持っていただけるレビューになっていたら幸いです。