こんにちは。黄色の鳥です。
今日は素人企業分析の初回です。勉強しながら、思案しながらになったので公開までに非常に日数いただきました。
こちらのシリーズでは、四季報や、企業さんがHP等で公開している企業概要や中長期ビジョン・今力を入れている事業などを紹介したうえで、楽天証券のHPの数値を用いてそれぞれの数値を比較していきたいと思います。あくまで、情報収集と比較の記事であって、どの銘柄がいいとかはお話しません。(できません。)
- 企業概要
- 未来ビジョン
- 競合企業
- 財務状況
- 株価指数
企業概要
JFEホールディングスは「JFEスチール株式会社(鉄鋼事業)」「JFEエンジニアリング株式会社(エンジニアリング事業)」「JFE商事株式会社(商社事業)」「ジャパンマリンユナイテッド株式会社(35%のみ持株)(造船事業)」の4社を束ねる持株会社です。グループの売上収益は、鉄鋼事業61.4%・エンジニアリング事業13.2%・商社事業25.4%となっています。
「JFEスチール株式会社」は日本を代表する大手鉄鋼メーカーで、租鉱生産量は国内2位・世界13位を誇ります。さすがに皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。建築用・自動車用などの鋼材を作っています。
「JFEエンジニアリング株式会社」の事業は多岐に渡ります。特筆すべき技術は、「橋梁技術」です。いわゆる橋をかける技術ですが、なんとシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズの上部にある船のような建造物を作った(しかも僅か9ヶ月間)のはこの会社だそうです。日本でも、明石海峡大橋も手がけています。技術力の高さに驚きですね。他にも、発電プラントや電力ビジネス・バイオマスなどや上下水設備など、構築物を含めて大きくインフラに関わっている企業です。
「JFE商事株式会社」はグループのサプライチェーンを支える鉄鋼・鉄鋼材料・化学品などの仕入れ販売を行う会社です。
未来ビジョン
公式HPで投資家向けの動画を見てみました。鋼材生産量国内2位、世界13位を誇るJFEスチールですが、量的な競争では転換期を迎えているそうです。今後、「質への転換」で収益化を目指す。背景として、途上国ではすでに鉄鋼の国内生産が可能になり、鉄鋼の地産地消が始まったことに加え、日本国内の内需の減少が加速していることがあげられます。転換期を迎え、9つある高炉を1つ廃炉とするそうです。
質への転換期後、高付加価値品で勝負していきたいと意気込みを語っておられました。最高級レベルの電磁銅板や自動車用ハイテン鋼などを強みとして、高付加価値品の生産量を50%まで上げて、安定基盤を気づいていきたいとのこと。生産量としては、中国には敵いませんが、技術力の高さでは、質の高いものの割合を増やしていく作戦ですね。日本企業らしい生存戦略ですね。
また、内部の改革としてはDXの推進を進めています。4年で1200億円の投資していく予定。これにより、労働生産性20%アップの期待がされているようです。JFEホールディングスは経済産業省と東京証券取引所が選ぶ「DX銘柄2021」に選出されています。
また、今後期待される新しい産業へも参入していました。「洋上風力産業への参入」です。日本は2050年のカーボンニュートラルを目指しており、政府は2020年末に「洋上風量産業ビジョン(1次)」を発表するなど、国を挙げて、導入を目指している産業になります。国内で洋上風力発電に取り組む先駆者として、今後どのようなニュースを聞かせてくれるでしょうか。
競合企業
「JFEホールディングス」は33業種分類で分類すると、「鉄鋼」に分類されます。鉄鋼の分類の競合といえば、「日本製鉄」「神戸製鋼所」の2社があげられます。それぞれ、国内売上高ランキングで1位と3位となっています。売上高が1兆円を超える企業はこの3社のみになるので、鉄鋼業界ではライバルと言えそうですね。それでは3社の財務状況と株価指数の比較をしていきましょう。
財務状況(2022年8月16日時点)
JFE ホールディングス | 日本製鉄 | 神戸製鋼所 | |
純資産額 | 5兆2879億円 | 8兆7523億円 | 2兆7287億円 |
自己資本 | 1兆9882億円 | 3兆4666億円 | 8153億円 |
自己資本比率 | 37.6% | 39.6% | 29.9% |
流動比率 | 160.17% | 174.11% | 145.47% |
<ポイント>
純資産と自己資本は純粋に会社に正味の財産といえるので数値が大きい方がいいのは想像に難くないと思います。
自己資本比率は、よく「30%以上で安全企業、50%以上で優良企業、70%以上で超優良企業」と謳われていますが、業種によってばらつきが大きいため、競合企業間での比較が必須な項目です。
また、流動比率は流動負債と流動資産の比率を表す指標で、短期の安全性を示す指標といえます。イメージは、「1年以内に現金で返す借金と、持っている現金の割合」いったところでしょうか。流動比率については、「100%を切っていると経営に不安があり、100%〜200%は一般的、200%は優良企業」と言われています。
<財務まとめ>
財務省の「法人企業統計調査2019」によると、鉄鋼業の自己資本比率平均は41.9%であり、自己資本10億以上に企業に限ると、平均は38.4%であるそうです。JFEホールディングスについては、平均的な数値で特筆はなし。
流動比率についても、一般的な数値ですので、総じて財務的には問題はないといえるのではないでしょうか。
株価指数比較(2022年8月16日時点)
JFEホールディングス | 日本製鉄 | 神戸製鋼所 | |
売上高 | 4兆3651億円 | 6兆8088億円 | 2兆825億円 |
営業利益 | 4001億円 | 8409億円 | 876億円 |
EPS(1株あたり利益) | 500.3円 | 692.2円 | 160.2円 |
PBR(株価純資産倍率) | 0.43倍 | 0.57倍 | 0.3倍 |
ROE(自己資本利益率) | 15.7% | 20.5% | 7.9% |
ROA(総資産利益率) | 5.4% | 7.3% | 2.2% |
<ポイント>
EPSは企業が一株当たりどれくらいの純利益を生み出したかを示す指標です。株式数が同じであれば、純利益が増加したときに数値は大きくなります。企業ごとに比べて、数値が大きい方がいいのと、数年間を遡って比べて見て、年々増加していることが注目ポイントになります。
PBRは株価を資産価値で比較したもので、割安感を見る指標。一般的に1倍以下だと割安と言われています。
ROEは株主から集めた資金をどれだけ効率的に使えているかを示す指標です。目安は10%で20%を超えると優良企業と言われます。
ROAはどれだけの資産でどれだけ稼いだかを示す指標になります。経営効率を示しています。一般的には5%以上は優良と言われています。
<指標まとめ>
JFEホールディングスは総じて、「問題もなければ、一般的な企業」と言えそうです。ただし、割安感を示すPBRは業界全体的にかなり割安となっているのは特筆すべき点でしょう。どの点を取っても、日本製鉄におよばない感が出ています。業界全体として、自動車減産による影響を大きく受けています。
JFEホールディングス | 日本製鉄 | 神戸製鋼所 | |
株価(2022/8/17) | 1475円 | 2140円 | 613円 |
配当 | 140円 | 160円 | 40円 |
配当利回り | 9.49% | 7.56% | 6.63% |
株価等を見ていきましょう。
JFEホールディングスの配当利回りが最も高くなっています。株価にしても10万円台と手ごろ感はあるので、手を出しやすい株かなと個人的には思いました。
まとめ
初めての企業分析を終えました。
まだまだ雰囲気投資家であることには変わりはないのですが、何社も何社も企業分析を繰り返して積み上げていきたいと思います。難しかったなぁ。加筆修正は定期的に行う予定にしております。